To the NEXT STAGE

新時代へのチャレンジ
「長期ビジョン2030」

当社は、2019年9月に創業60周年を迎えました。
これもひとえに、創業以来長年にわたるお得意先様や関係各位のご指導・ご支援、
そして創業者を始めとした諸先輩方のご尽力の賜物と、厚く御礼申し上げます。
バネを始めとした金属加工業を経て、現在は車載用二次電池部品の生産を中心に展開しています。
金型の内製化など、地の不利を活かした一気通貫体制の構築で「まずつくってみる」を可能とし、
トライ&エラーを素早く繰り返しながら技術開発案件を成功に導いていく──
これは他社にない当社独自の強みだと自負しています。

創業から現在に至るまで幾多の試練に見舞われてきました。
私が社長に就いてからの最大の危機はやはりリーマン・ショックでしょう。
数か月間売り上げが半減し、すでに動き出していた量産計画は後ろ倒しになり、
「この会社は大丈夫なのだろうか」と社内に不安が広がるのを肌で感じました。
当時一番辛かったのは、売り上げの落ち込みよりも退職者を出したことでした。
その危機を乗り越えることができたのも、会社に残ってくれた従業員
ひとり一人の不断の努力があったからこそだと、ここに改めて感謝の意を表します。

ビジョン達成の為の【多角化戦略】

業績の拡大とともに組織の規模やかたちが急速に変わり、2010(平成22)年に経営理念を刷新するとともに「経営理念手帳」を発刊しました。他社の追随を許さない技術や設備を保持しても、それらを使いこなして未来を切り拓いていくのは「人」に違いありません。「自己実現による好循環を通して、顧客・社会・従業員感動を追求し、地球の未来に貢献する」という経営理念をベースに、「従業員」を中心に据えた経営に重点を置いて邁進します。
創業者の時代から一貫して当社に流れ続けるのは〝チャレンジ精神〟です。他社に先駆けて車載用電池ビジネスに参入することができたのも、携帯電話用電池ビジネスの最盛期に新たな領域への挑戦を始めたからです。
2019年1月、従業員一同が会す年初の全体朝礼にて「長期ビジョン2030」を発表しました。
「ものづくりを通して “うれしさ” をカタチに」をミッションに、総合ものづくり力で、世界で信頼されるFUJIブランドを構築するべく、次期、経営幹部となる次世代中核メンバーを中心に、原案作成した長期ビジョンです。
ビジョン達成のためには、変革の歴史の中で培われた高付加価値経営を、戦略的多角化経営へと発展させていく戦略が欠かせません。規律ある組織文化を土壌に、既存事業の拡大・発展で高付加価値経営を維持しつつ、海外展開も視野にいれた新規事業の展開、更には、「もの」とは別の「こと」を売る「ものづくり関連事業」の展開など、戦略的な事業計画で、次なるステージを目指します。

多角化戦略イメージ

ビジョン達成の為の【社風醸成】

そして、このようなビジョンは、会社から従業員にただ押し付けるだけでは達成できません。
まずは個々の従業員が、日々の業務に前向きに取り組める職場づくり、「頑張ってみよう」と思える動機付けや応援がある仕組みが必要です。そして、その頑張りを会社がきっちりと見届けて評価することが、個人の達成感や存在価値の実感につながります。
このように会社の支援で得た自己実現を、後輩に返していくことで、世代を超えた育成スパイラルを形成し、このスパイラルの積み重ねこそが、冨士発條をなくてはならない企業へと成長させ、同時に冨士発條の一員であることのステータスも高めます。
 「自己実現し続けられる社風」の確立によって、全従業員が誇りを持てる企業となること。ビジョン達成に不可欠な課題として、全社挙げての取り組みを進めていきます。

 「好調期こそ、次の一手を」。

 先代が示してくれたように、常に将来を見据えた挑戦の先に未来があります。
 好業績に浮かれて挑戦の手を緩める、そんな油断とおごりを抱くことなく、常に新たな領域を模索したチャレンジを続けたいものです。サテライトオフィス名古屋設立、中国江蘇省での冨士発科技(蘇州)有限公司設立も、次の一手を視野に入れた展開です。
 同時に社会の動きが速い現在は、「頼まれたらノーと言わない」の更に一歩先を行き、「頼まれる前にやる」姿勢に変えていくことも大切です。2020年には、三重 亀山に新工場を竣工する計画が動いています。顧客の近くで、スピーディに対応、地産地消で安定供給する為です。全従業員が一丸となって、前向きでチャレンジングな企業体を目指していくことで、
冨士発條の100年企業への歩みはこれまで以上に盤石なものになると確信しています。

社風醸成イメージ

代表取締役 社長執行役員 藤井 啓